新規就農事例

松永 拓巳さん

~阿蘇市 トマト新規参入者~

1 現在の農業経営の概要

経営地 阿蘇市
経営開始年 令和元年
営農類型 施設野菜
(トマト)
経営規模 トマト72a、水稲60a
労働力 常時雇用2人+臨時雇用4人

■初期投資 合計約1,100万円

1年目 青年等就農資金から700万円の借入
2年目 青年等就農資金から400万円の借入

〈投資内容〉
  • ハウス12棟の建設

2 就農までの経歴・就農のきっかけ

■研修を受けた経緯

2016年に起きた熊本地震によって、祖父の水田が被害を受けた。跡継ぎがいないため農業経営をやめるという話を聞いたことをきっかけに就農を決意した。当時は沖縄でホテルマンとして働いていたがその年に帰熊した。その後、水稲だけでは経営が厳しいと感じ、トマトで経営していくことを決め、師匠の斉藤氏のもとで2年間の研修に入る。

■研修について

〈大変だったこと〉

前職のホテルマンの仕事とは違い体力を使う作業が多く、体が追いつかなかった。幸いにも実家で暮らすことができたので家賃には困らなかったが、夫婦二人暮らしで最初の1年間の生活費は新規就農関係の補助金150万円のみという苦しい状況だった。斉藤師匠が援助してくださり、なんとか乗り越えることができた。

〈楽しかったこと〉

農業に関すること全てが初めての経験で常に新しい発見があり、色んなことが楽しく感じた。また、先輩農家の方たちが優しく教えてくださったおかげで苦しくも楽しい研修となった。

3 経営について

■経営を始めてから一番苦労したこと

トマトを育てること自体が初めてで、当初は生育の流れをうまくつかめなかった。本来1ヶ月先にはすでに付いているはずの実が全く付いていないときは、未収穫のまま終わってしまうのではと経営に不安を感じた。

■経営をしていく中でやりがいを感じる瞬間

一番やりがいを感じるのはトマトの小さな実が緑から赤く色づき始めるとき。トマトは最初の一個が色づき始めるとその後はだんだんと増えていくが、その一個がなかなか現れないので、その色づきが始まる瞬間は「今年も収穫できる!」と安堵するとともにとても嬉しく感じる。

3 今後の抱負/後に続く新規就農者の方々に送るエール

■今後の抱負

今後の目標は「阿蘇を盛り上げる農業経営者」になること。地域経済を潤すために収益をしっかりあげて、子どもたちが阿蘇に帰りたいと思える地域にしたいと思っている。また、自分を育ててくれた師匠・斉藤氏のような、後継者の育成に携われる経営者を目指し、子どもたちに背中を見せられるような人間になりたいと考えている。

■後輩の皆さんへ

自分に合った師匠を見つけることが大事だと思うが、一番重要なのは自分自身が腐らず頑張ること。いくら周りからの援助があって環境が整っていてもやるのは自分。自分で努力しないと何も実らない。

4 作型

1~3月 4月 5月 6月~11月 12月
土壌消毒、定植準備 定植 収穫

5 松永さんのこれまでの経営とモチベーショングラフ

6 モチベーショングラフのポイント

主なできごと/経営上の課題と解決策

①人生の起点となる師匠親子との出会い

当時の私には、農業に対する知識や技術、農家の跡継ぎなら当然持っているはずの農地、土地勘、人とのつながりが無く、迷うことなく農業師匠である斉藤氏の門を叩き、斉藤信幸氏と孝幸氏の師匠親子の元、2年間の研修をスタートさせた。斉藤氏との出会いから刺激を受け、だんだんと夏秋トマト栽培の魅力に取りつかれ、夏秋トマトを柱とした農業経営を開始することを決意。師匠の「収益をしっかり上げて地域に納税し、地域経済を潤すことが大事である」という口癖から、農業や社会、地域との向き合い方を学んだ。この学びが今でも自身の基礎であり原点となっている。

②明確な経営目標を立てる

研修中は漠然とした目標でしかなかった数値を明確なものとして、「農業取得(純利益)1,000万円、施設栽培面積1ha」の目標を掲げた。師匠からは、経営者として成功できる栽培技術と農業経営の考え方について指導を受けながら学んだ。また、経営開始時には、農地や中古ハウスの仲介支援を、規模拡大時には農業機械等の支援で経営を後押ししてもらった。その後も規模拡大に向けた農地や施設整備について、師匠をはじめ地域の先輩方と情報交換をしながら中古ハウスや補助事業を活用して建設した。

③さらなる規模拡大を目指す

経営開始時の6棟(18a)から3年目で17棟(52a)まで拡大、4年目では更に24棟(72a)まで拡大して栽培を行っている。今後も108aまで規模拡大することを計画しており、目標の実現に向けて更に計画的な資金づくりを行うため、JA阿蘇の青色申告会に所属し学習会等で資金の流れについて積極的に学んでいる。