新規就農事例

綿住 輝さん

~阿蘇市 アスパラガス新規参入者~

1 現在の農業経営の概要

経営地 阿蘇市
経営開始年 平成25年度
営農類型 施設野菜
(アスパラガス)
経営規模 32a
労働力 2人

■初期投資 合計 1,480万円

  • 土地 70万円/10a×90a=630万円
  • ビニールハウス
    ①中古(パイプ48.6mm補強)11a約150万円②新品(パイプ31.8mm)22a約350万円(2の1補助残)
  • ハウス建込費用100万円・中古軽トラ30万円・灌水設備(工事費込)100万円・暗渠排水50万円
  • 動力噴霧器50万円・ポンプ20万円
  • その他(タンク、苗、堆肥、支柱、肥料散布機、コンテナ、ハウスカー、プレハブ(休憩小屋)、電気工事費、草刈り機、燃料入れ、一輪車、工具類(ハサミ、ドライバー等)、インパクトドライバー、肥料、長靴などなど・・・)

2 就農までの経歴・就農のきっかけ

■研修を受けた経緯

仕事のやり方、労働時間、休日、給与、納税など、全てにおいての決定権がある農業の、「自営業」としての魅力を感じ就農を決意。誰にも縛られることなく、自己責任のもと自分の能力のみで勝負できる、定年もない。最高の生き方が独立就農にあると思えた。

■研修について

農業体験がきっかけで、農業師匠である室さんを紹介してもらい、2年間のアスパラガス研修期間に入った。研修期間中はハウス横のプレハブ小屋に住み込み(家賃無料、水道無し、ガス無し)。室さんから、栽培技術、農村での暮らし方、農業経営等、いろんな事を教えていただいた。楽しくも苦しくもあった2年間の研修を終えて独立。すぐにハウスを作り始め、4月にアスパラガス33aを定植。

3 今後の抱負/後に続く新規就農者の方々に送るエール

■今後の抱負■

師匠が志す、日本一のアスパラガス産地へ向けて、起爆剤になりたい。

新規参入者の農業経営モデルとして、目標とされる人物であり続けたい。

■後輩の皆さんへ■

最初に苦労することはただ1点。それは良い農地を取得すること。アスパラの場合、一度植えつけたら長く同じ場所で作り続けることになるので、心から信頼できる人との借地契約を結ばなければならない。しかし地主さんは色々な事情から簡単に売ってはくれない。そこはもうコツコツと研修中に一生懸命働いて、信用を得るしかない。
農業をやると決めたのなら、つま先からそっと浸かるのではなく、頭から思いっきり飛び込もう。そして目の前のことに一生懸命ぶつかって感じて考えよう。

4 作型

2月 3月 4月 5月 6月 10月 11~12月
1年目 堆肥投入 定植 潅水、防除等 栽培管理
2年目以降 収穫

5 綿住さんのこれまでの経営とモチベーショングラフ

6 モチベーショングラフのポイント

主なできごと/経営上の課題と解決策

①研修を受けながら、農地の確保に動き出す

研修を始めてすぐに、地元の農業委員会に出向いてみたが特に相手にされる感じでもなく、農地の情報等は得られなかった。しかし間もなくハウス付きのうちの情報が入り、購入寸前までいったものの売主の都合により破談。それでもしつこく農業委員会などに情報収集に行った。そんな行動が良かったのか、師匠の助けのおかげで90aの農地情報を得て購入することができた。

②研修を受けながら、施設の確保にも動き出す

アスパラは一度植えつけると10年以上は植え替えることができないので、トラクター、管理機等の高額な機械は購入する必要がない。ただし、ビニールハウスは必須なので、できるだけ安価に取得する為の行動が必要だった。自分の場合は、まず区のの半額補助事業を使い20aの新品ハウスを取得。さらに、師匠から中古ハウスの情報もいただき、トマト農家の方が辞められるとのことで13aのハウスも取得した。

③ついに独立!家族経営を基本とするスタイルで経営を確立

人手を要する作業の時は周りの方々の力を頼るが、基本は家族経営。
お金を外に出さずして家の中で回す家族経営が自分にとってベスト。新規就農者は大規模化を目指すのではなく、ローリスク・ミドルリターンを狙うべきと考える。また、全量をJAに出荷し、生産に集中できたことも良かった。